ねぎたまおにおんず blog

面白いブログを目指してます

知らない人に金的した話

私は今、20歳である。20歳、それはお酒もタバコも出来るし、親の同意を得ずに結婚も出来るし、犯罪を犯せば実名で報道される、法律上は完全なる大人である。(尚、先の民法改正により2022年から18歳に引き下げられる)大人であるが、その実感は正直言うと、無い。まだまだポケモンゲームでマウント取ってるし、お母さんにいつもご飯を作ってもらってる私は、果たして本当に大人なのか。大人と子供の境界はどこなのだろうか、なんなのだろうか。自問自答は止まない。

しかしながら、ひとつ、変わったことがある。あまり声を高くして言うことでは無いのだが…。

 

 

それは私が街中で、いわゆる「ヤバイやつ」を見ても関心を持たなくなったことである。面倒ごとに巻き込まれたく無いといった怠惰な考えもあるが、それを差し置いても全く興味関心が湧かないのである。これは大人になった証なのではないだろうか?

昔は、あんなことをするぐらい、興味津々だったのにな、、、

というわけで今回は、私と…いや、私"達"とヤバイやつの最悪の思い出を語ろうと思う。

 

 

[第1話 ボーイ・ミーツ・デュラハン

「はあ〜、今日も勉強疲れたぜ…」

受験を5ヶ月後に控えた10月、大変だったサッカー部も引退し、勉強に本腰を入れ始めた僕達は、学校の近所にある塾『NEWS』(仮名)に通っていた。

 

学校の近所には3つの塾があって、近さと量の『NEWS』、圧倒的支配環境による集中の極み、質の『サンオン』、そしていわゆる馴れ合いなかよしごっこの『種』が生徒を取り合っていたのである。

やはり近さというのは大きなアドバンテージであり、私の通うNEWSにも、10月になると多くの人が入ってきた。

 

その中に

私の親友であり顔に大きなホクロがついててみんなにジャンボクロとかいじられてた、勝手にケータイのパス解除されパズドラで課金、魔法石増えるも気づかず「バグで増えてるw」とか言って喜んでたリュウジ(仮名)と、

太鼓の達人がめちゃくちゃ上手くてサッカー部の応援でその太鼓を披露したらTwitterに挙げられてめちゃくちゃバズったレオン(仮名)もいた。そいつらはサッカー部。本当にサッカーを楽しんでいたタイプで、なぜかいつもサッカーボールを持っていた。(ここ伏線です。2話で出ます。)

そしてそいつらには、、、"必殺技"があった!

 

いわゆる中学生、まだまだ子供であり、もちろんその必殺技はいわゆる、金的である。

手をチョップの形に整え、相手の背後から一気に切り上げるッ!そしてこう叫ぶのだ!《ヘミングウェイ》ッッ!!!!!!

老人と海や、武器よさらば、などの超有名作を生み出したアメリカの大物作家である彼の名前からインスピレーションを受け編み出されたこの技は、相手の股間の心臓、キンタマを確実に破壊する殺意に満ちた暗黒の必殺技である。

 

この技を彼らは、隙あれば私のようなインキャに繰り出していた!!!

 

日々研鑽されてゆくその技は、より鋭く、より早く、、相手に気配を辿らせない、影の技と化し我々を苦しめていた。

 

そして時は過ぎ11月。

 

私と彼等は塾帰り、塾の隣のローソンでアイスを買って外に出た。(※沖縄なので普通です)

さて、いつものようにヘミングウェイされないよう、隙を見せないで帰ろうと前を向くと…?

 

 

ひた、

 

 

 

 

 

ひた、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リュウジ「おい、なんだよあれ」

レオン「分からん、、、が!」

私「ああ、明らかにおかしいぜ。ヤツには…」

 

 

3人「「「首がッ!!!無いッ!!!」」」

 

 

 

そう、我々の前を歩く存在、ソイツにはヒトならばあるべき"首から上"が無かったのだ!

ゆっくりと、しかし確実に歩くその姿から、生命を持った存在であることが分かる。霊的な、妖怪的な何かでは無い!確かにそこに存在するソイツは、しかし確かに首から上が存在しなかったのだ!!!

 

どうなってんだよ…

 

本当に人間、なのか…?

 

 

ただ、こんな恐怖に怖気づく私を横目に、元気が取り柄のリュウジはソイツの元へ向かっていった。

 

おい!よせ!!

 

私とレオンの制止も聞かず、どんどんとソイツの元へ向かって行くリュウジ。

何がお前をそこまで突き動かすのか。

 

 

それ以上は危険だ!リュウジ!

ばっかお前!何するつもりだ!!!

 

リュウジはもう首のないソイツまで数メートルの位置だ。

そして、

 

 

 

リュウジは

 

 

加速し始めた──

 

 

 

は?

 

 

 

 

刹那───我々に衝撃が走る

 

 

あろうことか、リュウジは、

 

 

 

ヘミングウェイッッ!!!!」

 

は?

は?

 

 

 

 

は?

 

リュウジは、その首無き存在に、伝家の宝刀ヘミングウェイをぶっ放したのだ。

 

そして

「グッハドュフフフブフブフフフフブフォッ!!!!フハははははは!!!」リュウジがものすごい勢いでこちらに戻ってきた。

 

そしてその奥には、、、

 

体を曲げ、ものすごい形相でこちらを睨む、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

普通のおじいさんが、いた。

 

 

私たちは、逃げ出した。

走った。

坂道を全力で駆け下りた。全力、少年だ。

 

私と彼等の家の分かれ道である小学校まで、3人とも一切スピードを緩めずに走った。サッカー中体連全国ベスト16の脚力の見せ所だ(3人ともベンチスタート)

 

はぁ、はぁ…!

 

 

息の切れる3人。

およそ秋には似つかわしく無い全身汗まみれの少年が、夜9時ごろ小学校の前にいる。

非行を疑われても文句は言えないだろう。

 

レオン「おい、リュウジ。なんだって、はぁ、あんなことを!はぁ、」

私「お前一体何考えてんのよ!wはぁ…はぁ…はぁ…はぁ……うぇっ…はあ」(スタミナ1番無い)

 

リュウジ「キンタマ……あったwww」

 

 

 

いや貴様それが一番最初に出てくる言葉かよ!!!!!!!!

私達は気が抜けて、3人で笑いあった。レオンがその首無き者の真似をしながら歩いたり、私が首無き者がこちらを振り向いた時の顔真似をしたりで大盛り上がり。その日の夜は興奮で寝付けなかった。

 

かくして、受験前に私たちは勇気を手に入れたのだった。

なお、アイスは溶けていた。

 

 

 

次の日、学校にビクビクしながら行ったが、朝の会、帰りの会共に何も言われることは無かった。

私たちは、味を占めたのだった─

2話に続く。

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おそらく、なにかの病気で腰を痛めた、普通のおじさんだったんだろうな。ただ腰の曲がり方が激しく、子供の目では首が無いように見えたのだ。そして当時の好奇心旺盛な私達は善良な市民に突然キンタマを破壊しにかかるという非人道的な行為を行った。

昨今の風潮で、日本人は薄情になった。無関心であるなどの意見が見られる。

痴漢の冤罪や、不審者扱いされたりといった世間の目が厳しくなってる今、積極的に赤の他人に関わって行くというのはなかなか勇気のいることだ。

しかしながら、子供が泣いていても、声をかけないような。

 

そんな大人には、なりたくない。

 

 

だから、私は勇気を持って、

行動する。

 

「ボク、どうしたの、大丈夫かい?」

 

 

いつも心には、リュウジの勇姿を思い浮かべながら…

 

 

「あっ、キンタマ、ついてる…」

 

いや普通に考えて捕まるがな!!!!!

おわり。